症例

口腔顔面痛では、顎関節症の他に、目に見えない「痛み」の治療を行います。これは三叉神経痛や神経障害性疼痛などに代表されます。
顔面部の痛みは頭痛を伴う事が多いため、鑑別疾患として挙げて、必要に応じて神経内科の医師と連携をして治療を進める事もございます。

症例1:65歳女性

主訴: 一日に数回左上の奥歯付近に激痛が走る。虫歯の治療を行っても痛みが取れない。
処置: 痛みを感じる周囲の歯に問題が無い事を確認。痛みの特徴から、三叉神経痛と診断し、薬物療法を開始する。同時に脳外科に対診を行い脳MRIを撮影し、
脳内に異常が無い事を確認。現在は薬物療法にて痛みは良好にコントロールされている。

症例2:55歳女性

主訴: 右上の奥歯がジリジリ痛む。虫歯の治療を数回行い、抜歯も行ったが痛みが一向に良くならない。
処置: 痛みを感じる周囲の歯や歯茎に問題が無い事を確認。痛みの特徴から神経障害性疼痛を疑い、軟膏の塗布か薬の服用どちらかを選択してもらう。
現在は軟膏とステントの使用により痛みは良好にコントロールされている。

症例3:17歳男性(A/B/C)

筋突起過形成症のために重度の開口障害を起こしていた症例。外科処置およびリハビリ訓練により開口量の改善を認めた。

症例4:72歳男性(D)

症例写真D
主訴: 舌のヒリヒリ感。
処置: 同症状を呈する全身疾患や局所疾患に関する検査を行い、それが否定された後に舌痛症と診断し、うがい薬による治療を開始する。
症状が改善する濃度までうがい薬を調節し、現在では痛みは良好にコントロールされている。
【解説】舌痛症
口の中のヒリヒリ・ピリピリ感を訴えるが、見た目ではなにも異常が無いために、精神的(心因性)な疾患だとあしらわれる事が少なくない。
これも神経障害性疼痛の一種であると現在は考えられている。
うがい薬またはサプリメントを使用する事で痛みが改善する事がある。

症例5:71歳女性(E)

症例写真E
主訴: 内科医より睡眠時無呼吸症候群と診断される。nCPAPによる治療を試みるも、使用時の不快感より断念。
マウスピースによる治療を内科医より依頼されて来院。
処置: マウスピースによる睡眠時無呼吸症候群の治療は、顎関節に負荷がかかる事とかみ合わせに変化をきたす可能性があるため、初診時に顎関節の状態を診査。
マウスピースを作成後、数回の来院に分けて徐々に調整を行い、下顎の位置を決定。安定していることを確認したのち、再度睡眠試験を行い、実際に装置によって睡眠時無呼吸症候群が改善しているかを確認。
【解説】睡眠時無呼吸症候群に対するマウスピース治療
急激な顎位の変化は顎関節に負担を及ぼす可能性があるので、少しずつ顎の位置を移動させて睡眠時無呼吸症候群の症状の改善が認められる顎の位置まで徐々に移動させていきます。
状態が安定したら、再度睡眠試験を行っていただき、改善していることを確認する事も行います。
また、マウスピースによる治療はかみ合わせが変化してしまう可能性があるために、毎朝簡単な顎のストレッチ運動を行っていただいております。

症例6:顎関節硬直症(骨性癒着)(F)

症例写真F
外傷の既往があり、徐々に開口量が減少してやがては1mmくらいしか口が開けなくなってしまい来院。
外科処置およびリハビリ訓練により開口量は30mm程度まで改善。

症例7:顎関節に変形性骨関節炎が認められる症例(G/H/I)

痛みの度合に応じて、薬物療法や、ステロイドや潤滑剤の注射などを顎関節に行う。高齢者では珍しくないが、若年者に生じている場合はリウマチなど、全身性疾患である疑いもあるため、膠原病内科(リウマチ科)のドクターと連携して診療を行う事もある。
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